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今月のエッセイ

『体験乗船』四本充




 JAMSTEC(海洋研究開発機構)では毎年[ 全国児童「ハガキにかこう海洋の夢コンテスト」 ]という
イベントを開催しています。
 入賞した児童には、それぞれ各賞(文部科学大臣賞、海洋研究開発機構 理事長賞、CG-ARTS協会賞、
など)と記念品が授与され、夏休みにはJAMSTECの船(地球深部探査船「ちきゅう」をはじめ、「みら
い」「かいれい」などおおくの探査船を保有)に体験乗船出来る特典が付きます。
 当協会でも昔からこのイベントを後援し「日本理科美術協会賞」を出し、応募作品の審査や授賞式にも参加
しています。
 昨年、体験乗船のご招待を頂き、私と浅井さんとで参加する事にしました。
 今回は2017年7月29日(土曜日)静岡県の清水港から無人深海探査船「かいこう」の母船「かいれい」
での体験乗船です。
 清水港を早朝出航のため前日東京駅で浅井さんと待ち合わせ新幹線と電車を乗り継ぎ清水まで、指定された
ホテルに着きチェックイン、夕飯の後ホテル内で「乗船についての注意事項」等の説明を聞き早めの就寝。
 翌朝全員ロビーに集合し、何台かのタクシーに分乗し港まで、いよいよ乗船し出航、前日までの台風の影響
で海が荒れており船酔いを心配したが、波も穏やかでほとんど揺れる事もありませんでした。
 出航前、船室で前日頂いた「乗船のしおり」の説明、ヘルメット、ライフジャケットの装着法やロープの結
び方などを勉強した後甲板に出て、錨を上げたりそのほかの準備作業を観ながら広報の方や女性スタッフから
説明を聞きながら船はゆっくりと岸壁を離れます。

港には地球深部探査船「ちきゅう」も停泊していました。

 今回探査する場所は駿河湾の美保の松原の沖、水深1000m~2000m位の海底です。
陸地からすぐの所なので港から30分もかからずに着いてしまいます。
 「かいこう」が海底に潜水するまでの準備作業を甲板で観た後デッキで船長さんの話を聞いたり、コントロー
ルルームでテレビモニターに写る海底に下りていく様子を観察、海底に着いてからもモニターに写る深海生物
(ナマコのなかま、ソコダラのなかま)などを観たり、それらを採取する様子を子供たちは説明を聞きながら熱
心にメモをとり勉強していました。

  昼食の後、浮上した「かいこう」から海底で採取した泥やヒトデ、また海底でいろいろな実験をしたカップや
コーラなどの感触を確かめたり、飲んで味を調べたりしていました。
前日配布された「乗船のしおり」には体験乗船メンバーやスタッフ全員の紹介、船内マップ、昼食時の席、等
の他に、「駿河湾とは」でその成立ちや海底の地形の様子、 駿河湾の深海生物の写真などが載っていて子供たちだけで無くわれわれにも役立つ資料になりました。

  今回はとても貴重な素晴らしい体験をすることが出来ました。

今年3月にはまた作品の審査があります、素晴らしい作品がたくさん応募されていると思います。
今からとても楽しみです。