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今月のエッセイ

『ヒポポタマス(かば) コレクション』安在惠



 巨大な動物が好きである。遠くからその存在を確認し、接近していくとき既にわく
わくするが、近づいて見ていると、離れがたくいつまでも見ていたい。もちろん動物
園でのことである。

 動物園にいる巨大な動物といえば、ゾウ、キリン、サイ、そしてカバであろう。
 鳥類ではダチョウ、初めて見たとき、その迫力に驚いた記憶がある。
 ゾウは巨大動物の代表であり見る機会も多かった。キリンは近隣の埼玉県こども動
物自然公園に多数おり、いま最も身近にいる巨大動物である。ゆっくりとした動き、
やさしさを感じる眼差しは見飽きることがない。
 サイは多摩動物公園で見ることができた。並々ならぬ迫力である。

 わたしがこだわっているのはカバである。
 と言っても、実はこだわっているのは、カバをモチーフにしたさまざまな小物のコ
レクションである。収集は長続きしている。木、金属、ガラス、陶磁器、布、プラス
チックなどで作られた大小の置物(が多い)、マグカップ、灰皿等々。お気に入りの
第一は、金属とコルクのワインボトルの栓。

 しかし本物のカバは、つい最近まで見たことがなかったのである。コレクションに
こだわり、TVの映像や動物図鑑の知識で、本物を見たと錯覚していたのであろう。

 そこで昨年夏、カバのいる東武動物公園へと出かけた。朝食時に地上(?)に出て
くるというネット情報にもとづき開園と同時に到着したが、朝食の行事はなく、カバ
は汚れた水中にいて背中の一部しか見えない。結局、午後の食事時間まで待つことに
なった。
 本物のカバは、期待以上の存在感があり、大いに満足した。
 そして冬には上野動物園のカバにも会いに出かけたのである。(完)

東武動物公園

上野動物園(右はコビトカバ)