今月のエッセイ
『リトルレンジャー豆知識』たぐちとしかず

私は昔からかなりのコレクターだ。
それは大人になった今も変わらない。
そんな私が子供の頃、特に熱を入れて集めたものがある。
期間は短く、数カ月…長くても1年位だったと思うのだが、ミルクキャラメルのおまけとして封入されていた豆知識のカードがそれだ。
「リトルレンジャー豆知識」とタイトルが付けられたそのカードは全60種。
動植物の生態、野山での遊び方、ロープの結び方などがとても魅力的なイラストとともに紹介されていた。
当時テレビCMも流れていたからメジャーなキャンペーンだったと思うのだがネットで探しても不思議とほとんど情報が得られない。
上記のシリーズの後、伝統的な子供の遊びを紹介する第2弾が存在する。こちらは全100種。ネタは一般から公募していたと記憶している。
私が入れ込んでいたのは圧倒的に前者である。
内箱(と切手?)を送るとカードをとじる小さなバインダーが送られてきた。
専用のバインダーという大人っぽいアイテムを得たことで私のコレクション熱は加速していく。
小学生だったその頃、私の小遣いは日に30円。
2日ごとに50円のキャラメルを買いに行くのがルーチンとなり、最大の楽しみとなっていた。
しかし、おまけの封入期間は短く、子供の財力で集めきるのは到底難しい。
そんな折も折、その年の社会科見学の訪問先が当のお菓子メーカーで、おみやげとしてミルクキャラメルをいただいてしまったのだ…学年全員が。
どのようにしたか(ずるく立ち回ったか、あるいは何かと交換したのか…)帰りのバス内で並み居るライバルと争奪戦を繰り広げ、かなりの枚数を獲得できた。
最終的にはコンプリートには至らなかったが、50種ほどのカードを手に入れ、それは今も宝物として私の手元に残っている。
いつかは残りの10枚とも巡り合いたいものである。
「自然を題材に」し、「イラストで紹介する」というこの企画はまさに私がこの仕事に興味を持った原点であろうと思う。
このようなすてきな企画を子どもたちに発信してくれた「当時の大人たち」に感謝してやまない。
そして「今の子どもたちの心」にも大人になった私たちが何か残せたらと思っている。